AI面接を前に知りたいのは、隠れた攻略法より「誰が合否を決めるのか」「何を評価するのか」「やり直せるのか」です。

2026年9月に公表された大学生・大学院生392人の研究では、AI面接だけで合否を決めず人の面接へつなぐ運用や、評価方法・評価項目の事前明示が、安心できる条件の上位に挙がりました。

そこで、研究で使われた7項目を、PeopleX、SHaiN、harutaka、VARIETAS、HireVue、タレスカ、ZeroInterview、COREMIRU Scanの公式公開情報へ当てはめました。8サービス×7項目、合計56セルの独自監査です。

結果は、公式情報で確認できた項目が29、企業設定や導入先によって変わる項目が12、公開情報では確認できなかった項目が14、公式に「できない」と確認できた項目が1でした。評価方法と導入目的は8サービスすべてで説明されていました。一方、受検後のフィードバックや、自分の回答・結果の確認は公開情報が少ない領域でした。

元の調査で学生が重視した7項目

組織心理研究所の第2報では、大学生・大学院生431人の回答から操作チェックで39人を除き、392人を分析しています。このうち就活サービスを通じて参加した248人へ、AI面接で「あったら安心できる機能・運用」を追加で尋ねました。

安心できる機能・運用5件法の平均
AI面接で合否を決めず、人の面接につながる4.40
評価方法・評価項目が事前に明示される4.35
AIの評価結果が選考でどう使われるか明示される4.22
簡単なフィードバックが返る4.21
発言の言い直し・取り直しができる4.14
自分の回答内容を後から確認できる3.94
企業がAI面接を案内する意図が明示される3.90

7項目はいずれも中間値の3を上回っています。ただし、この数値は機能を追加した前後の比較ではありません。「その条件を安心できると評価した人ほど、公平感や企業への魅力も高い傾向があった」という関連の分析です。導入すれば不安が何点下がる、といった因果効果は示していません。

同じ392人を対象にした第1報では、希望する形式が対人面接78.1%、AI面接10.7%、どちらでもよい11.2%でした。AI面接は対人面接より不安が低く評価された一方、評価への納得感、進め方の公平感、企業への魅力は低く、不気味さと不透明性は高く評価されています。

8サービス×7項目の監査結果

記号は次の意味です。

  • ●:サービス共通の公式情報で確認できる
  • △:企業設定による、または導入企業の公式事例で確認できる
  • ?:調べた公式公開情報では確認できない。機能がないという意味ではない
  • ×:できないことが公式情報に明記されている
サービス人の関与評価方法結果の使途フィードバック再受検等本人確認導入目的
PeopleX AI面接●●●△●△●
SHaiN△●△?●?●
harutaka AI面接●●●●△●●
VARIETAS AI面接官△●△???●
HireVue OnDemand●●●?●×●
タレスカAI面接△●△???●
ZeroInterview●●●?△?●
COREMIRU Scan△●△???●

この表は点数表ではありません。●が多いサービスほど精度が高い、通過しやすい、安心して使えるという意味もありません。候補者が一般公開ページから受検前に確認できた範囲を数えています。

評価方法と導入目的は見つけやすい

8サービスすべてで、何らかの評価方法と導入目的を確認できました。

PeopleXは言語力、非言語表現、行動特性などの評価レポートを説明しています。SHaiNはプラン別のAI質問・観察項目・評価項目を公開。harutakaは企業が評価軸、質問、深掘り方針を設定します。タレスカは自社要件に沿うスコアと評価根拠コメント、面接動画、発話内容を結び付ける仕組みです。

ZeroInterviewは回答内容・構造・非言語情報と評価理由、COREMIRU Scanは回答内容・思考過程・行動特性を扱うと説明しています。HireVueは、対象にしたOnDemand面接について、顔や声の特徴ではなく回答の文字起こしと職務関連の能力を使うと明記しています。

同じ「評価方法の説明」でも詳しさは異なります。評価領域が分かる説明、企業が独自に設定できる説明、評価根拠まで企業側で確認できる説明を、今回は同じ一項目として数えました。公開された評価項目だけから、非公開の配点や通過基準は分かりません。

「人が関与する」の中身は二種類あった

PeopleX、harutaka、HireVue、ZeroInterviewでは、人が選考判断を行う、またはAIが人の判断を支援する説明をサービス共通の公開情報で確認できました。

残る4サービスも、人が関与しないと判定したわけではありません。SHaiNは導入企業の事例で、レポートを次の人による面接の判断材料にする運用を確認できます。VARIETASはキリンの企業公式説明で、人が評価軸と最終合否を決めたことを確認できます。タレスカはAI面接の後に人の一次・最終面接を置く選考例を掲載。COREMIRU ScanはUUUMグループの事例で、AI評価を参考に後続面接へつなぐ運用を説明しています。

これらは導入先ごとの運用なので△にしました。同じサービスでも、企業がどの選考段階に置き、録画・文字起こし・評価レポートのどれを見て判断するかは変わります。

AI面接はAIだけで合否が決まる?でも、サービスの機能と企業の最終判断を分けて解説しています。

情報が少なかったのは候補者側の操作

フィードバックは、harutakaが合否にかかわらず候補者へレポートを返すと説明しています。PeopleXにも応募者向けフィードバック機能がありますが、面接結果・評価・改善点を実際に返すかは導入企業の運用差を考慮して△としました。ほか6サービスでは、今回調べた公式公開情報から候補者へ結果を返す共通仕様を確認できませんでした。

再受検、撮り直し、途中再開はさらに区別が必要です。

  • PeopleXは通信切断などで離脱した場合、進行中だった質問テーマの冒頭から再開する条件を公開
  • SHaiNは技術的中断後の継続方法と、開始済み面接を最初からやり直せないことを候補者FAQで説明
  • HireVue OnDemandは質問ごとの回答回数が企業設定で、面接全体の再受検には企業の承認と新しいリンクが必要
  • harutakaは塩尻市の事例で複数回挑戦できるが、全導入先共通ではない
  • ZeroInterviewは通信トラブル時の再受検を許可する運用を企業へ勧めている

「途中から戻れる」「一問を撮り直せる」「完了後に面接全体を受け直せる」は別の機能です。受検案内では一語の「再受検」だけを探さず、どの場面のやり直しかを確認してください。

本人による回答・結果の確認は、harutakaがフィードバックレポート、PeopleXが企業設定のフィードバック機能を持ちます。HireVue OnDemandは練習回答を見返せる一方、送信済みの本番回答は見返せないと公式ヘルプに明記しています。ほか5サービスでは、候補者本人が後から何を見られるかを共通の公開情報から確認できませんでした。

サービス別の確認先

サービス今回の主な確認先受検前に追加で見る場所
PeopleX機能一覧、途中再開応募企業のフィードバック・再受検案内
SHaiNサービス詳細、受検者FAQ企業設定の質問数・期限・再発行条件
harutakaAI面接、候補者FAQ複数回受検の可否
VARIETAS端末・受検時間、キリンの説明対象コースと選考での位置
HireVueAIの説明、再受検招待画面の回答回数・期限
タレスカ公式サービス紹介導入企業の評価軸・後続選考
ZeroInterviewAI面接サービス再受検と候補者への結果開示
COREMIRU ScanUUUMグループ導入発表所要時間・再受検・結果開示

受検案内で確認する5問

実際の受検では、サービスの一般仕様より、応募企業から届く案内が優先されます。次の5問へ答えられる箇所を探してください。

  1. AI面接の後に、人の面接または採用担当者の確認があるか
  2. 回答、録画、文字起こし、AI評価のうち、何を誰が見るか
  3. 何を評価するか。企業独自の質問・評価軸があるか
  4. 通信中断、一問の撮り直し、面接全体の再受検はそれぞれ可能か
  5. 面接後に自分が確認できる回答、評価、フィードバックはあるか

書かれていない項目は「機能なし」と決めず、自分の受検に影響する項目だけ問い合わせます。特に通信不良への対応は、トラブルが起きてから探すより、開始前に問い合わせ先と期限を保存しておくほうが安全です。

この監査の限界

元研究は実際の採用面接後の調査ではなく、対人Web面接と、AIアバターがリアルタイムで会話し発話内容を評価する場面を想定したシナリオ調査です。録画型やテキスト型を含むすべてのAI面接へ、そのまま一般化できません。

今回の監査も、ログイン不要で読める公式サイト、公式FAQ、導入企業の公式情報が対象です。受検者だけに届くメール、ログイン後の説明、企業ごとの設定は含みません。?は未確認であり、非対応の判定ではありません。

確認日:2026年9月30日

確認した調査・一次情報